クレジット=信用取引、という観点で日本のクレジット産業を捉えた場合、その起源は江戸時代にさかのぼると いう見方があります。
有名な『富山の薬売り』がそれです。置き薬という独特の販売方法は、まず初回の訪問時 に商品である薬を預けておき、次回の訪問時に利用した分の代金を受け取る、というものであり、商人と顧客の 間に信用がなければ成立しない商法です。
ましてや、当時の薬と言えば超高級品でもあり、顧客が商品の品質を 信用するという意味合いも、今日のクレジット産業に相通ずるものがあったのです。あらかじめ一定のロス率を 見込んでおくという考え方も、既にこの時点で確立されていたと考えられます。
やがて近代に近づくに従って、 庶民の生活は豊かさを増して行きます。家具・楽器・自動車など、庶民が高額な商品を手にするためには、商品 先渡しの分割後払い方式、すなわち月賦販売が必要となる時代を迎えたのです。明治後半から大正時代の、月賦 販売の草創時期にその牽引役を担ったのは、シンガーミシンなどの製造メーカーでした。
高額商品を一括払いで 購入できる富裕層が少なかった時代、月賦販売の普及は、メーカー側のニーズでもあったのです。ミシン、楽器 、自転車、自動車などの耐久消費財と呼ばれるものは、軒並み月賦販売によって売上げを伸ばし、庶民の生活も 飛躍的に向上しました。
戦争が始まる直前の昭和初期には、月賦販売の金融会社も設立され、日本のクレジット 産業の黄金期と呼ばれる時代が到来していたのです。
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